セキュリティを高める VPN とは
VPN (Virtual Private Network)とは、インターネット上の仮想的な専用回線のことです。たとえばフリー Wi-Fi でインターネットに接続した場合、どこに接続したかが漏洩する可能性があります。
また、暗号化されていない通信は、通信の内容も第三者に盗み見られる恐れがあります。そこで VPN 接続を使えば、通信全体が暗号化されて転送されるため、通信内容を外部から盗み見られる可能性が低くなります。
一方、すべての VPN サービスが信頼できる訳ではありません。VPN 事業者がセキュリティ アップデートを怠っていれば、利用者の通信が第三者に傍受される可能性がありますし、また悪意のある VPN 事業者が、利用者の通信内容を無断で収集、転売するといった例も発生しています。
特に、無料の VPN サービスを利用する場合は、「事業者がどのような意図、ビジネスモデルで提供しているのか」を調べたうえで利用する必要があります。VPN を使用する際には、しっかりとしたプライバシーの保護とセキュリティを保証する VPN サービスの選択が大変重要です。
VPN アプリを選ぶ際の 3 つのポイント
スマホで VPN を利用するには、ネットワークの設定で VPN 情報を入力する方法などもありますが、最も一般的なのは VPN が利用できるアプリをインストールする方法でしょう。Android スマホの場合は、Google Play ストアから VPN アプリをインストールできます。
ここからは、スマホの VPN アプリを選ぶ際に確認するポイントを紹介します。
VPN 事業者の信頼性
前述したように VPN アプリを選ぶ際は、セキュリティとプライバシーが最重要です。アプリを提供している事業者が信頼できるかどうか、事業者が掲げる「プライバシー ポリシー」や「ノーログ ポリシー」などを確認するとよいでしょう。
プライバシー ポリシーとは、サービス利用時に収集する個人情報の詳細や、その活用方法、管理方法などの方針を記載したものです。VPN の利用と関係のない個人情報が収集されていないか、収集された個人情報が適切に管理されるか確認しましょう。
ノーログ ポリシーとは、オンライン上の利用者の行動記録(閲覧履歴や IP アドレスなどのログ)を VPN 事業者が追跡したり記録しない方針のことです。アプリの説明や公式サイトなどでノーログ ポリシーの徹底が明文化されているか確認しましょう。また、アプリによっては専門機関の監査を受けているものもあるため、参考にするとよいでしょう。
VPN アプリのなかには無料で利用できるものもありますが、セキュリティ面などでリスクを伴う可能性もあるため、慎重に選びましょう。
サーバーの拠点
VPN を使用する際は、VPN サーバーを介してインターネットに接続します。そのため、日本で VPN アプリを利用する際、VPN サーバーが海外にあるとサーバーとの距離が遠くなり、応答速度(Ping 値)や通信速度が遅くなる可能性があります。
また、海外の VPN サーバーを介すると、日本のサービスからは利用者が海外からサービスにアクセスしているように見えます。一部の動画配信サービスや決済サービスなどは海外からのアクセスを制限しており、そうしたサービスは海外の VPN サーバーを使うと利用できなくなります。
VPN 接続中も快適にインターネットを利用するために、国内にサーバーの拠点があるアプリを選んだ方が普段と同じように利用できるでしょう。
通信速度
国内の VPN サーバーであっても、利用するサーバーの性能や回線の太さによって VPN の通信速度は異なります。実際の通信速度は使用してみないとわからないため、試用期間のあるものは十分な速度が出るか試してみてから契約するとよいでしょう。
また、利用者が多い時間帯などにサーバーへのアクセスが集中すると、通信速度の低下が起こることもあります。複数の VPN サーバーが用意されているアプリを選ぶのも一つの手でしょう。
同じアプリでも料金プランによって通信速度が異なる場合があります。ご自身の利用用途に合ったアプリやプランを選びましょう。
Google Pixel で使える Google VPN
Google Pixel スマホをお使いの方の場合は、Google が提供する Google VPN という VPN が無料で利用できるためそちらを活用するとよいでしょう。Google VPN は Google Pixel 7 以降の Pixel スマホに標準搭載されている VPN サービスです。
Google の高度な暗号技術と優れたネットワークを利用しているため、信頼できるセキュリティでプライバシーを保護しながら、さまざまなアプリやブラウザを快適な速度で利用することができます。また、Google が VPN 接続を使用して通信内容を追跡、記録、販売することは一切ありません。
Google VPN は、設定アプリから簡単に有効にすることができます。手順は以下のとおりです。
- Google Pixel の設定アプリを開きます
- [ネットワークとインターネット] → [VPN] の順にタップします
- [Google VPN] をタップします
- Google VPN を初めて使用する場合は、注意書きが表示されるため、内容を確認します
- [VPN を使用する] をオンにします
- VPN を無効にする場合は、[VPN を使用] をオフにします
Google VPN を有効にすると、ネットワークに接続するたびに VPN に自動的に接続します。VPN に接続すると、画面上部に鍵アイコン が表示されます。
Google VPN のオン / オフは、ディスプレイの上部から下にスワイプすると表示される「クイック設定」の VPN のパネルからも切り替え可能です。また、パネルを長押しすると、Google VPN の設定画面にアクセスすることもできます。
Google VPN では、特定のアプリやネットワークを VPN 接続から除外することも可能です。あらかじめ設定しておくと、VPN 接続では利用できないアプリやサービスを使いたいときにも都度 VPN のオン / オフを切り替える必要なく、快適に VPN を利用できるでしょう。詳細はヘルプセンターの Google Pixel で Google VPN に接続するをご覧ください。
VPN を活用して、インターネット セキュリティを強化しよう
モバイル回線のデータ使用量を節約したいときなどに、外出先でフリー Wi-Fi があると便利でしょう。しかし、フリー Wi-Fi では、アクセスしたサイトの情報や、暗号化されていない通信を第三者に盗み見られる可能性があります。その際、VPN 接続を使用すると、通信全体が暗号化されインターネット利用時のセキュリティを強化できます。
スマホで VPN サービスを利用する場合には、アプリをインストールする方法が一般的です。アプリは、サービスの品質、サーバーの拠点などを確認し、ご自身の用途に合わせて選択しましょう。また、VPN 事業者がしっかりとプライバシーを保護しているか、セキュリティを保証しているかなど、安全性を確認することも重要です。
本記事で紹介した内容を参考に、外出先でフリー Wi-Fi を利用する際に VPN を活用してみてはいかがでしょうか。
※本記事で紹介した内容は、Android のバージョンや機種によって異なる場合があります。
※本記事は、2024 年 10 月時点に Google Pixel 8(Android 15)で検証しました。