1080p(HD)や 2160p(4K)などの意味や違い
動画ストリーミング サービスなどの設定で 1080p(HD)や、2160p(4K)などの画質が選べる場合があります。これらの数字は動画の解像度の違いを表しています。
動画における解像度とは、映像の中にある画素の数を表すものです。画素はピクセルとも呼ばれ、デジタル画面を構成する最小の単位のことを指します。ここでは、画質の違いや、映像がどのように表現されるのかなどを説明します。
映像はたくさんの画素からできている
写真や動画などの映像はたくさんの画素で構成されており、小さな点(画素)が集まって一つの映像となります。では 1080p(HD)や 2160p(4K)などは具体的にどのくらいの画素で構成されているのでしょうか。YouTube を例に、詳しく説明します。
デジタルの映像には、画素が水平方向(横)と垂直方向(縦)にそれぞれ並んでいますが、720p(HD)の 720 という数字はその映像の縦の解像度を指しています。画面の横と縦の比率のことを「アスペクト比」と呼び、たとえば YouTube の場合、パソコン上での標準アスペクト比は 16:9 とされています。したがって、YouTube をパソコン上で見る場合、720p(HD)は 1280(横)× 720(縦)の解像度となり、約 92 万個の画素からできていることになります。
1080p(HD)の場合は、縦の解像度が 1080 なので 1920 × 1080 となり約 200 万画素、2160p(4K)の場合は 3840 × 2160 で約 830 万画素になります。2160p(4K)は横(水平方向)に約 4000 の画素数を持つことから 4K とも表記されています。
※アスペクト比の設定は、お使いのデバイスや、再生する動画によって自動で調整される場合があります。
映像が美しく見える理由
解像度が上がると、画素が増えるためより鮮明な映像表現となります。1080p(HD)の場合、480p(SD)の約 6 倍、2160p(4K)は、1080p のさらに約 4 倍の解像度を持つため、より細やかで美しい映像になるといえるでしょう。上げたい画質に対応したディスプレイや動画であれば、画質設定を変更することで解像度を上げることができます。
こちらは動画で使われる主な解像度の種類の表です。
480p(SD) | 720 × 480 |
720p(HD) | 1280 × 720 |
1080p(HD) | 1920 × 1080 |
2160p(4K) | 3840 × 2160 |
※表で紹介している解像度はあくまで一例です。YouTube における画質の詳細についてはこちらをご覧ください。
また、映像が美しく見える理由の一つに描画方式の違いがあります。映像にはインターレースとプログレッシブの 2 つの方式があり、YouTube の映像ではプログレッシブ方式が使われています。
仕組み上、プログレッシブ方式のほうがちらつきやブレの少ない映像を写すことが可能です。現在は、多くのテレビやスマホのディスプレイなどで、プログレッシブ方式が採用されており、プログレッシブ方式が使われている場合に「○○p」と表記されます。1080p も、このプログレッシブ方式です。
一方、アナログテレビや、地上波での放送などではインターレース方式が採用されています。インターレース方式が使われている場合は、後ろに「i」を付けて 1080i などのように「○○i」と表記されます。
スマホのディスプレイも高解像度に
解像度が高ければ、より繊細な映像表現を楽しめます。解像度の高い映像を楽しむためには対応したディスプレイが必要となり、近年発売されている多くのスマホは、高解像度のディスプレイを搭載しています。フル HD 以上の解像度を持つスマホが多く、中には 4K ディスプレイを搭載しているものもあります。
スマホの解像度はディスプレイの美しさを決める指標の一つであり、1280 × 720、1920 × 1080 などと表記されます。この数字はディスプレイの解像度を表しており、スマホの場合、スペック表などで確認可能です。これらの数字はあくまで一例で、デバイスやモニターによって、2400 × 1080 になるなど、細かい数字の表記は異なります。
また、映像の美しさを決めるのは解像度だけではなく、ディスプレイの種類にもよります。ディスプレイには液晶や有機 EL など、いくつか種類があり、たとえば有機 EL ディスプレイを搭載したスマホであれば、液晶よりも発色がより自然な映像を楽しめるでしょう。
画質の違いを並べて見比べよう
動画の画質の設定を変えると、どのくらい見え方が変わるのでしょうか。実際に、YouTube の動画を例に比較してみましょう。
こちらは 1080p(HD)で表示した動画のスクリーンショットです。同じ映像で 480p(SD)のものと並べて比較すると以下のようになります。
左が 480p(SD)で、右が 1080p(HD)です。このように並べて拡大すると、1080p(HD)のほうが鮮明に写っているのがわかるでしょう。480p(SD)だと少しぼやけていますが 1080p(HD)はよりくっきりしていることがわかります。
もしかするとスマホの小さい画面では差を感じにくいかもしれませんが、タブレットや、さらに大きなディスプレイで見た場合は画質の差が顕著に表れるはずです。お使いのデバイスやモニター、通信環境に合わせて、画質を選ぶとよいでしょう。
上で説明したように、設定した解像度で表示するためには、動画側、デバイス側ともにその解像度に対応している必要があります。スマホやモニターの解像度のスペックも合わせて確認しておきましょう。
動画再生に必要な通信速度
動画の画質を上げると、より繊細で美しい映像表現を楽しめるでしょう。一方で、画質の設定を上げると、快適に視聴するためにはより速い通信速度が必要になります。たとえば、YouTube の動画再生で推奨される回線速度は以下のとおりです。
動画の画質 | 推奨される持続的な回線速度 |
480p(SD) | 1.1 Mbps |
720p(HD) | 2.5 Mbps |
1080p(HD) | 5 Mbps |
2160p(4K) | 20 Mbps |
Mbps は、一秒間にデータをどれだけ送ることができるかを表す単位です。たとえば、1 Mbps は毎秒 1 メガビットを伝送できるという意味です。
YouTube で動画を再生した場合は、通信環境に応じて快適な画質に自動調整されます。ご自身で好きな画質を選ぶことも可能です。
ストリーミング再生で高解像度の映像を安定させたい場合は、Wi-Fi などの通信環境が整った場所で再生するとよいでしょう。
【画質毎の通信量】
720p、1080p(HD)、2160p(4K)と高画質になればなるほど、通信量も比例して上がります。解像度ごとの通信量についてまとめた表がこちらです。
動画の画質 | データ通信量(1 時間あたり) |
480p(SD) | 約 495 MB (約 0.5 GB) |
720p(HD) | 約 1125 MB (約 1.1 GB) |
1080p(HD) | 約 2250 MB (約 2.2 GB) |
2160p(4K) | 約 9000 MB (約 9 GB) |
画質を上げると、それに合わせて通信量が増えていることがおわかりいただけるでしょうか。480p(SD)から 720p(HD)に上げると約 2 倍、720p(HD)から 1080p(HD)も約 2 倍に増えていることがわかりますが、注目して頂きたいのは 1080p(HD)と 2160p(4K)の違いです。
この 2 つには約 4 倍ほどの差があり、 1 時間 の通信量では 6 GB 以上の差が出ます。これは 2160p(4K)は 1080p(HD)の 4 倍の解像度があり、それだけ必要な通信量も多くなるためです。契約している通信プランによっては、すぐに通信制限にかかってしまう可能性があるため、画質設定には十分に気を付けましょう。
1080p や 4K など、あなたに合った画質設定を選ぼう
1080p(HD)や 2160p(4K)は、解像度を表しています。高画質の動画では、より繊細な表現を楽しめるでしょう。
近年では YouTube などの動画サービスでも、高解像度の映像を楽しめるようになりました。お使いのデバイスのディスプレイ解像度や、通信状況、契約プランなどによって、適切な画質設定は異なります。YouTube の動画は、通信環境やデバイスに応じて、快適に視聴できるよう解像度(画質)が自動で調節されます。画質を手動で変更する場合は、解像度や、通信量に気をつけましょう。
※本記事で紹介した解像度の表記などは、YouTube に準拠しています。また、1080p(HD)はフル HD と呼ばれる場合があります。
※本記事で紹介した内容は、Android のバージョンや機種によって異なる場合があります。
※本記事で紹介した内容は、執筆時(2023 年 3 月)のものです。