防水スマホでもお風呂での利用は避けよう
防水設計のスマホを持っていると、入浴中に使用しても問題がないように感じられるかもしれません。しかし実は多くのスマホでは、試験時に浴室での利用が想定されていません。まずは防水スマホの性能の基準がどのようなことを示しているかを解説します。
防水スマホの保護基準
スマホのスペック表などで「IP68」のような表記を見たことがある方もいるでしょう。これは IP(International Protection)コードと呼ばれるもので、固形物や水の侵入に対する機器の保護性能を示す国際的な基準です。
IP コードは、「IP68」のように「IP+数字+数字」のような書式で表され、1 つ目の数字は防塵性能、2 つ目の数字は防水性能を表しています。防塵性能は 0~6 の 7 段階、防水性能は 0~8 の 9 段階の等級があり、数字が大きいほど保護性能が高くなります。たとえば「IP68」と表記されていれば、「防塵等級は 6、防水等級は 8」ということを示しています。
また、防塵・防水いずれかのみの性能を示す場合は、省略する方を「X」で表記することもあります。たとえば、防塵性能のみを示す場合は「IP6X」、防水性能のみを示す場合は「IPX8」のようになります。
詳しくは下の記事をご確認ください。
浴室利用をおすすめできない理由
IP コードが示す防水性能は、常温の水道水を用いるなど、特定の環境下でのテストをクリアしたことを意味しています。浴室内はこのテスト環境と異なる点があるため、防水スマホでも入浴中の利用が推奨されていません。
たとえば、浴室の湿度の高さや浴室内外の寒暖差によって、スマホの内部が結露して水分がたまる可能性があります。また、シャンプーや入浴剤など水以外の液体がかかると液体に含まれる化学物質がスマホ内部に入り込み、故障を引き起こすおそれがあります。
スマホのメーカーや携帯通信会社が「浴室で使用可能」としている機種以外は、浴室に持ち込まないようにしましょう。浴室で使用できる防水スマホの場合でも、防水性能に関する情報や取り扱いの注意事項をよく確認してから使用するようにしましょう。
お手持ちのスマホが浴室での使用に対応しているかは、メーカーや携帯通信会社のウェブサイトに記載されている技術仕様ページなどをご確認ください。
水濡れによる故障で考えられる不具合
防水設計のスマホであっても、水濡れによって、主に以下のような不具合が起きることがあります。
- カメラのレンズがくもる
- ディスプレイが正常に表示されない
- ボタン操作やタッチ操作に反応しない
- スピーカーの音が乱れる
- 充電ができない
- 電源が入らない
電源が入らなくなるとスマホ本体に保存していたデータを取り出すことが難しく、バックアップされていないデータを失う可能性もあります。
また、電源が入らない場合や操作ができない場合は、基板等がショートしている可能性があります。通電を続けると端末の故障だけでなく感電や火災の危険性があるため、水濡れにより不具合が発生した場合は、すぐに電源を切り、SIM カードや SD カードなどを取り外して水分を拭き取るようにしましょう。
なお、水濡れによる故障は、ほとんどの場合、メーカーや携帯通信会社による保証の対象外です。ご自身で有料の補償サービスや保険に加入していない場合、状態によっては修理または本体交換の費用が高額になることもあります。
どうしてもスマホをお風呂に持ち込みたいときは?
ここからは、どうしてもお風呂でスマホを利用したいときの使い方や確認事項を紹介します。
温水や石けんに対応した機種を使う
Android スマホには、浴室での利用に対応している機種※のほか、温水シャワーやハンドソープで洗える機種※もあります。機種選びの際に、浴室で利用可能なスマホか確認してみてはいかがでしょうか。浴室に持ち込む前の準備や使用後の水抜きなどのお手入れが必要ですので、使用前に製品マニュアルで確認しておきましょう。
※メーカーが試験環境下で防水性能などを確認したものであり、使用時のすべての環境において、機能の動作や無故障を保証するものではありません。
市販の防水ケースに入れる
市販の防水ケースにスマホを入れて、浴室に持ち込む方法があります。防水ケースを利用する際は、使い方や注意書きをよく読み、防水性能を確認したうえで使用しましょう。※1
万一の場合に備えておく
お風呂でスマホを使用する場合は、水濡れによる故障のリスクを完全になくすことはできません。万が一不具合が起きた場合を想定して、備えておきましょう。
【バックアップを取っておく】
水濡れにより故障してしまった場合、スマホのディスプレイが表示されなくなったり、電源が入らなくなったりすることがあります。スマホから大切なデータを取り出せなくなってしまう前に、バックアップを取っておきましょう。
バックアップの方法はヘルプセンターの Android デバイスのデータをバックアップ、復元するを参照してください。
【補償サービスや保険に加入する】
携帯通信会社が提供する有料の補償サービスや保険会社のスマホ保険の中には、水濡れによる故障時に、修理や端末交換の費用の補償を受けられるものがあります。
水濡れ以外にも、紛失や損壊などが補償の対象に含まれるサービスや保険もありますので、不測の事態に備えて、加入を検討してもよいかもしれません。
なお、水濡れによる故障をサポートしていても、故障の原因によっては補償外になる場合もあります。費用や補償の適用範囲・内容などをよく確認して検討しましょう。
スマホを濡らしてしまった場合は
万が一スマホを濡らしてしまったときの、一般的な対処方法を確認しておきましょう。
- スマホを水から引き上げます
- 電源をオフにします
- 柔らかい布で水分を取り除きます
- SIM カードや SD カードが内蔵されている場合は取り出して、柔らかい布で水分を拭き取ります
- 平らな場所に置いて、室温で完全に乾かします。このとき、ドライヤーなどは使用しないでください
それぞれの機種の個別の対処方法については、ヘルプセンターのデバイス メーカーや携帯通信会社のサポートを利用するからサポートサイトでご確認ください。
お風呂での使用に対応したスマホ以外は浴室に持ち込まない
スマホは、一部の機種を除いて、浴室での使用は想定されていません。防水設計のスマホであっても、お風呂対応が明記されていない機種を浴室に持ち込むのは避けましょう。
どうしてもお風呂でスマホを使いたい場合、防水ケースなどを利用する方法もありますが、水濡れのリスクが完全になくなるわけではないことを理解しておきましょう。念のため、データのバックアップを取ったり、補償サービスや保険に入ったりして備えておくとよいかもしれません。
または、お風呂で音楽などを聴きたい場合にはスマホ本体は持ち込まずに、Bluetooth 接続の防水ワイヤレス スピーカーを使用してみてはいかがでしょうか。スマホを浴室の外に置き、スピーカーだけ持ち込めば入浴中も音楽を楽しむことができます。その場合も、スピーカーの防水性能をよく確認したうえで、持ち込むようにしましょう。
※1 本記事の情報は、サードパーティの販売する防水ケースの性能を保証ないしは推奨するものではありません。
※本記事で紹介した内容は、Android のバージョンや機種によって異なる場合があります。
※本記事で紹介した内容は、執筆時(2024 年 5 月)のものです。