Private Compute Core とは
Private Compute Core とは、個人的なデータを利用するアプリやサービスなどを安心して使えるようにする仕組みです。Android 12 より実装され、近くで流れている音楽の詳細を調べる機能などに利用されています。
Private Compute Core はオペレーティング システムやアプリから分離してデータを処理しているため、プライバシーに配慮された環境といえます。また、第三者が検査および検証できるよう、Private Compute Core とクラウド間のやりとりはオープンソースとなっています。
※「オープンソース」とは、広く公開されているソースコード(プログラムの処理内容を人が読める形で書いたもの)を指します。
Private Compute Core はどこで役立っている?
Private Compute Core はさまざまなサービスで活かされています。ここでは、Private Compute Core が、具体的にどのようなサービスに役立っているのかを解説します。
※特定の機能は一部の Android スマホでのみご利用いただけます。
【この曲なに?】
Google Pixel の「この曲なに?」を使えば、近くで流れている音楽の詳細を調べられます。これは、Android スマホに保存された曲データベースを使って音楽を認識する仕組みです。
自動認識の処理中に音声や周囲の声が Google に送信されることは無く、プライバシーを保ったうえで分析が行われます。「この曲なに?」は、Google Pixel の設定アプリ内の [着信音とバイブレーション] から設定できます。
「この曲なに?」についての詳細は、こちらの記事でも紹介しています。
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【自動字幕起こし】
「自動字幕起こし」は、スマホで再生されている話し声を検出し、字幕が生成される機能です。すべての音声と字幕はスマホ内で処理されるため、外部に送信されることはありません。
自動字幕起こしをオンにするには、音量ボタンを押した後、音量コントロールの下にある自動字幕起こしのアイコンをタップしてください。にぎやかな場所で動画の音声を把握したいときや、ポッドキャストを字幕入りで楽しみたいときなどに役立つでしょう。
※この機能を利用して話し声を字幕に変換すると、バッテリーの使用量が増えます。
「自動字幕起こし」についての詳細は、こちらの記事でも紹介しています。
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【スマートなテキスト選択】
「スマートなテキスト選択」とは、テキストの選択に関わる機能です。たとえば住所が書いてあるテキストを選択すると、住所であると認識された範囲の文字列が自動的に選択されます。また、それに応じたアプリのショートカットが表示され、コピー&ペーストをしなくても、選択した住所を地図アプリで表示できます。
他にも、電話番号やメールアドレスのテキストを選択すると「電話をかける」、「メールを送信」などのポップアップが表示され、タップすると電話アプリやメールアプリが起動します。
【スマート リプライ】
「スマート リプライ」は、メッセージ アプリでやりとりをする際、返信文の候補が表示される機能です。返信や共有が素早く、簡単にできて便利です。
その他にも Private Compute Core は、スクリーン アテンション(画面を見ている間は画面がオフにならない機能)やテキストのリンク設定、アプリの検索、スクリーン ショットによる搭乗券など、多くの機能に利用されています。詳しくはこちらをご覧ください。
Private Compute Core を安心して利用できる仕組み
Private Compute Core はセキュリティを保つため、オペレーティング システムやアプリから分離されているだけでなく、単体ではネットワークに直接アクセスできないようになっています。ネットワークにアクセスするために利用されるのが Private Compute Services です。
ここでは、Private Compute Services の概要と、Private Compute Core と Private Compute Services の関係について解説します。
Private Compute Services とは
Private Compute Services は、Private Compute Core とクラウド間の架け橋となるアプリです。Android 12 以上の OS に対応しており、要件を満たす Android スマホに組み込まれています。最高水準のセキュリティを有しているだけでなく、透明性を確保するために内部処理を公開しているのが特徴です。
また、アプリの更新は夜間または Android スマホの充電中に自動で行われます。プライバシーを守るための大切な機能なので、自動更新の有効化はオンにしておくか、通知が来た場合は忘れずにアップデートしてください。
Private Compute Core と Private Compute Services の関係
Private Compute Core のサービスは機械学習やモデルを更新することで改善しますが、ネットワークに直接アクセスできません。そこで、プライバシーを確保しながら通信できる Private Compute Services を利用してクラウドへアクセスします。
Private Compute Services は機械学習で利用するためのアップデート情報(新しい曲のカタログや音声認識モデルなど)を安全に受け取ります。これにより Android の機能が強化され、さらに便利になります。
Private Compute Services の分析データを管理するには
Private Compute Services はアプリの分析や品質をモニタリングするため、クラッシュログや診断データ、デバイス ID を集めています。このデータ収集は任意であり、設定でオン / オフが可能です。
分析データをオンまたはオフにする手順
- 設定アプリを開きます
- [セキュリティとプライバシー] をタップします
- [プライバシーの詳細設定] をタップします
- [使用状況と診断情報] をタップします
- [使用状況と診断情報] をタップすると、オンまたはオフが可能です
※オフにしても、システム アップデートやセキュリティなど重要なサービスで必要とされる情報の送信は、これまでどおり行われます。
分析データについて、詳しくは Google Pixel ヘルプをご覧ください。
Private Compute Core で安心のスマホライフを
「自動字幕起こし」や「この曲なに?」など Android スマホの便利な機能は、Private Compute Core と Private Compute Services との連携によりユーザーのプライバシーを保護する仕組みが用いられているため、安心して利用できます。
機械学習やモデルの更新によって、利用しているサービスや機能を最新の状態に保つためにも、Private Compute Services アプリは常にバージョンアップしておきましょう。
※本記事で紹介した内容は、Android のバージョンや機種によって異なる場合があります。
※本記事は、2022 年 10 月時点に Google Pixel 6(Android 13)で検証しました。