Wi-Fi の電波が弱くなる原因
Wi-Fi の電波が弱くなってしまう原因はさまざまですが、主に Wi-Fi ルーターの設置場所や電波の干渉、Wi-Fi ルーターの不具合などが考えられるでしょう。ここでは 3 つの原因についてみていきましょう。
Wi-Fi の電波が届きにくい
Wi-Fi の電波が弱くなる原因の多くは、場所によって電波が弱くなってしまうといった設置場所が挙げられるでしょう。
たとえば、Wi-Fi ルーターが設置されている場所から離れるほど電波は届きにくくなりますし、壁や柱などの障害物で遮られた場所では電波が弱くなってしまいます。また、Wi-Fi などの電波は自宅の 1 階に Wi-Fi ルーターを設置した場合、2 階や 3 階の部屋などへは電波が届きにくいこともあります。
電波の干渉
電波の干渉でも Wi-Fi の電波が弱くなる可能性があります。
Wi-Fi の電波は、2.4 GHz や 5 GHz などの帯域が利用されています。中でも 2.4 GHz は、Bluetooth や電子レンジをはじめとした家電でも利用されているため、Wi-Fi の電波に干渉することがあるのです。電波干渉が起こると電波が弱くなり、通信速度が遅くなったりします。たとえば、Wi-Fi で通信している最中に電子レンジを使うと通信速度が遅くなったり、パソコンで Wi-Fi を利用しながら Bluetooth マウスなどを使うと、Bluetooth マウスの動きが遅延するなど、双方に影響が出る可能性があります。
Wi-Fi ルーターの不具合
Wi-Fi ルーターに不具合がある場合にも、電波が弱くなることがあります。
Wi-Fi ルーターは常に電源が入っていて通電しているため、長い期間使用しているとどうしても劣化してしまいがちです。そのため機器に不具合が起こり、Wi-Fi の電波が弱まってしまう可能性があります。電波が弱いと感じた場合は、Wi-Fi ルーターの電源を抜いて一分以上経過してから再び電源を入れて再起動してみましょう。長期間使用している Wi-Fi ルーターを再起動しても電波が弱かったり通信速度が遅かったりする場合は、新しい Wi-Fi ルーターに買い替えることも検討してみましょう。
Wi-Fi 環境を改善する中継器とは
Wi-Fi の中継器とは、Wi-Fi 電波の弱い場所や途中経路などに設置することで Wi-Fi の電波を中継して、ルーター本体だけでは電波の届かない範囲をカバーするための機器です。
Wi-Fi ルーターの近くであれば、スマホなどのデバイスで強い電波を受信できますが、Wi-Fi ルーターから離れた場所や、電波が遮られる場所では弱くなります。このような場合、中継器を設置することで電波を届けてくれるのです。
近年ではメッシュ Wi-Fi(後述)というネットワークも出てきました。メッシュ Wi-Fi 環境を構築する際、従来の中継器とは仕組みが異なりますが、「エージェント」とも呼ばれる中継器のような役割を果たす機器も含まれています。
Wi-Fi 中継器の選び方
Wi-Fi の中継器を選ぶときは、現在の環境をどのように改善したいのかを軸に選定するとよいでしょう。
通信速度を重視する場合
Wi-Fi の通信速度を重視して中継器を選ぶ場合は、通信速度に対応した製品を選びましょう。Wi-Fi の通信速度には、第 5 世代と呼ばれる Wi-Fi 5 や、第 6 世代と呼ばれる Wi-Fi 6 があります。それぞれの見分け方としては「IEEE 802.11〇〇」といった表記で見分けられます。各規格の通信速度は以下のとおりです。
規格 | 周波数 | 最大通信速度 | |
第 5 世代 | IEEE 802.11 ac | 5 GHz | 6.9 Gbps |
第 6 世代 | IEEE 802.11 ax | 2.4 GHz、5 GHz | 9.6 Gbps |
世代が高いほど最大通信速度が速いことがわかります。ただし、Wi-Fi ルーターや Wi-Fi に接続するスマホやパソコンなどのデバイスが第 5 世代までしか対応していない場合には、中継器も第 5 世代に合わせなければ接続できない場合がありますので注意しましょう。
設置が簡単なものがよい場合
新たに設置する Wi-Fi の中継器について、簡単に設定、設置できるものがよい場合は、設定ボタンを押すだけで Wi-Fi ルーターの設定ができるものを選ぶとよいでしょう。
※メーカーや製品によって異なる場合があります。
通常の Wi-Fi 機器は、デバイスの接続先となる SSID (アクセスポイントの識別名)やパスワード、セキュリティの設定などが必要になります。これらの設定を簡単なボタン操作で設定できるのが WPS という仕組みです。WPS が利用できる中継器であれば、コンセントに中継器を設置して WPS ボタンを押し、Wi-Fi ルーターの WPS ボタンを押すだけで中継器の設定が完了します。たとえば、Google が提供する Google Nest Wifi ならば、Google Home アプリを使って簡単に設定することも可能です。
Google Nest Wifi のセットアップ方法についてはこちらをご覧ください。
広い範囲で Wi-Fi を使いたい場合
複数にまたがる部屋がある場合や 2 階建て以上の建物などで Wi-Fi を利用したい場合、メッシュ Wi-Fiによるネットワーク構築ができる機器を使うことで、利用範囲が広がります。一般的な中継器とは機器の仕組みが異なりますが、たとえば 2 階建ての自宅の各部屋に Wi-Fi の電波を広げる可能性が高まります。
メッシュ型の中継器「Google Nest Wifi」とは
一般的な Wi-Fi の中継器よりも広範囲に Wi-Fi の電波を広げられるメッシュ型 Wi-Fi は、Wi-Fi ルーターと拡張ポイントと呼ばれる中継器で、家の隅々まで安定した電波を供給できます。
メッシュ Wi-Fi を構築できる機器はさまざまなメーカーから専用の機器が販売されており、Google からは「Google Nest Wifi」が提供されています。Google Nest Wifi はメッシュ Wi-Fi 環境を構築することを前提に設計されており、「Google Nest Wifi ルーター」と「Google Nest Wifi 拡張ポイント」という機器で構成されます。このうち、Google Nest Wifi 拡張ポイントが、一般的な中継器にあたるものです。Google Nest Wifi ルーターを設置した後、Wi-Fi の電波が弱い場所に Google Nest Wifi 拡張ポイントを設置します。
Google Nest Wifi の詳細については、公式サイトもあわせてご覧ください。
中継器を使って自宅の Wi-Fi 環境を改善してみよう
Wi-Fi の中継器を使えば Wi-Fi の電波環境を改善できる可能性があります。中継器だけでは電波が改善されない場合には、メッシュ Wi-Fi を構築してみるのもよいでしょう。自宅の Wi-Fi 環境に不安がある方は、中継器の利用やメッシュ Wi-Fi を検討してみてはいかがでしょうか。
※本記事で紹介した内容は、執筆時(2022 年 9 月)のものです。