Android のスイッチアクセス機能とは
スイッチアクセス機能の概要
スイッチアクセス機能とは、Android のスマホに外付けスイッチやキーボードなどの外部デバイスを取り付けて、画面にタップすることなくデバイスを操作する機能です。
スイッチには手元で操作できるボタン状のものもあれば、足で操作できるフットスイッチもあります。また、スティック形式やわずかな動きを Android デバイスに伝えられるマウス状のものも存在します。
スイッチアクセスの活用シーン
Android のスイッチアクセス機能は、タッチスクリーンでの操作が困難な状況でも Android デバイスを操作できるようにするためのものです。設定すれば1つのスイッチだけでも Android デバイスを操作できるようになります。音声読み上げ機能を活用すれば、ウェブサイトの内容やメールの文面を音声で知ることができるでしょう。
スイッチアクセス機能を使うための準備
スイッチアクセス機能を使うために必要な機器について解説します。
外付けスイッチ
外付けスイッチは、押しボタンや操作スティック付きのデバイスです。外付けスイッチBluetooth や USB で Android デバイスに接続して、画面上の項目を順にハイライトして選択することで操作します。ハイライトとは選択された文字や項目を、強調してわかりやすくすることです。
キーボード
キーボードは、パソコンやタブレットなどに使用する一般的な形状のものです。外付けスイッチと同じように、Android に接続して使用します。Bluetooth 接続タイプ、USB 接続タイプともに使用可能です。
Android デバイスのボタン
Android のデバイスボタンもスイッチアクセスとして活用することができます。音量大ボタンや音量小ボタンなどの Android デバイスの物理ボタンに操作を割り当ててスイッチデバイスとして設定します。
スイッチアクセスのセットアップ方法
スイッチアクセスのセットアップ方法を解説します。スイッチアクセスはほとんどのAndroid デバイスで設定することができます。
スイッチをデバイスに接続する
外付けスイッチやキーボードは、USB や Bluetooth を使用して Android デバイスに接続します。
【USB での接続】
それぞれの機器に対応している USB ケーブルを使って、Android デバイスにスイッチやキーボードを接続します。
【Bluetooth での接続】
Android デバイスで「設定」から「Bluetooth」に移動します。以後の設定については、スイッチや Android デバイスの取扱説明等をご参照ください。
テキストを入力できるよう画面キーボードを表示する
外付けスイッチやキーボードを接続すると、Android の画面キーボードは自動的に非表示になります。そのため、スイッチでテキストを入力できるようにするためには、画面キーボードを有効にする必要があります。
【画面キーボードを再び有効にする】
Android の設定アプリを開いて「言語と入力」を選択します。お使いの Android のバージョンに合わせて以下の手順で設定します。
- Android 7 以降: 「物理キーボード」から「仮想キーボードの表示」を選択します。
- Android 6 以前: 「現在のキーボード」から「ハードウェア」(「スクリーンキーボードを表示する」)を選択します。
スイッチの数に合わせてスキャンを設定する
使用するスイッチの数やユーザーの好みに合わせて画面上の項目をスキャンし、基本設定を選択できます。一度設定しても変更は可能です。各スキャンの設定方法をみていきましょう。
【自動スキャンのセットアップ方法】
スイッチが1つの場合は自動スキャンを設定します。自動スキャンでは、ユーザーが選択するまで画面上の項目を順に自動的にハイライトしていき、スイッチを押すとスキャンが開始され、もう一度スイッチを押すことでハイライトされた項目が選択されます。
Android デバイスの設定アプリ を開きます。[ユーザー補助] → [スイッチ アクセス] → [設定] を開き、[自動スキャン] をタップします。[自動スキャン] が表示されない場合は [スキャン方法] をタップし、 [リニアスキャン] または [行 - 列] を選択します。
自動スキャン画面の上部にある [自動スキャン] をオンにします。
自動スキャン時間、最初の項目で遅延、スキャンの回数など、自動スキャンの設定を調整できますが、省略しても構いません。
[戻る] ボタンをタップすると、スイッチ アクセスの設定に戻ります。
[スキャン用のスイッチを割り当てる] を選択して [自動スキャン] をタップし、ダイアログが表示されたら、スイッチを押します。
最後に [保存] をタップします。
【ステップスキャンのセットアップ方法】
ステップスキャンはスイッチが複数ある場合の設定です。[次へ] と割り当てられたスイッチを押すことで画面上のハイライト表示が移動します。選択したい項目までハイライトを移動させたら、[選択] と割り当てられた別のスイッチを押します。
Android デバイスの設定アプリ を開きます。[ユーザー補助] 、 [スイッチ アクセス] [設定] の順にタップします。そのときに [自動スキャン] がオフになっていることを確認します。
[スキャン用のスイッチを割り当てる] をタップして [次へ] を選択します。
ダイアログが表示されたら、[次へ] スイッチとして使うスイッチを押し、ダイアログで [保存] をタップします。
[選択] をタップします。ダイアログが表示されたら、[選択] スイッチとして使うスイッチを押します。
ダイアログで [保存] をタップします。
【グループ選択のセットアップ方法】
グループ選択も複数のスイッチがある場合の設定です。グループ選択では画面上の項目のグループがハイライト表示され、選択したい項目にたどり着くまでグループサイズを絞り込んでいくことができます。グループ選択は、自動スキャンやステップスキャンよりも素早い操作が可能です。一部の Android デバイスでは「オプションスキャン」とも呼ばれています。
- デバイスの設定アプリを開きます。[ユーザー補助] → [スイッチ アクセス] → [設定] の順にタップします。そのときに [自動スキャン] がオフになっていることを確認します。
- [スキャン方法] を選択して、[グループ選択] をタップします。
- [スキャン用のスイッチを割り当てる] → [グループ選択スイッチ 1] をタップします。
- ダイアログが開いたら、1つ目のスイッチを押します。ダイアログで [保存] をタップします。
- [グループ選択スイッチ 2] をタップします。
- ダイアログが開いたら、2つ目のスイッチを押します。ダイアログで [保存] をタップします。
他のスイッチを追加して設定する場合は、(5)(6)の項目を繰り返して、それぞれのスイッチに同じ手順で割り当てていきます。スイッチは合計5つまで設定できます。3つ以上のスイッチを割り当てると、画面上の項目はさらに多くのグループに分割され、操作性が向上します。
音声フィードバックとスイッチアクセスをオンにする
音声読み上げによって、Android デバイスの画面に表示されている項目を聞くには、スイッチアクセスで音声フィードバックをオンにしておきます。音声による読み上げを必要としない場合はこちらの設定は必要ありません。
【音声フィードバックをオンにする(省略可能)】
[スイッチアクセスの設定] の画面で [読み上げ、音、バイブレーション] を選択します。
[音声フィードバック] をオンにします。
省略可: 音声フィードバック画面で次のオプションを調整します。
説明文の読み上げ: 操作可能な項目と説明文がある項目の音声フィードバックを聞くことができます。画面が見えないときに便利な設定です。
詳細度: 読み上げる情報の量を選択できます。
テキスト読み上げ(TTS)設定: デバイスの TTS 設定を変更できます。
移動前に読み上げを終了(自動スキャンのみ): この設定をオンにすると、音声フィードバックの読み上げを終了するのを待ってから(最長 10 秒)次の項目に移動します。
その他のフィードバック: バイブレーションや音声応答をオンにしたり、音の設定を調整したりできます。
【スイッチアクセスをオンにする】
- [スイッチ アクセスの設定] 画面で、戻るボタンをタップして [スイッチ アクセス] 画面に戻ります。
- [スイッチ アクセスを使用] をタップします。
- 確認ダイアログで [OK] を選択して許可を確認し、スイッチアクセスをオンにします。
以上でスイッチアクセスの設定は完了です。
スイッチアクセスでテキストを編集できる
スイッチアクセスを活用すれば、画面をタップすることなくテキストを編集できます。ここではスイッチアクセスを用いたテキストの編集方法を解説します。
画面キーボードを使って入力する
画面キーボードを使って入力する方法は以下のとおりです。この入力方法は、スキャン方法を「リニアスキャン」または「行 - 列スキャン」に設定している場合に有効です。
- テキスト項目を選択します。
- 「次へ」スイッチを押してキーボードのスキャンを開始しましょう。
- 1行ずつ順にハイライト表示されるので、選択したいキーのある行がハイライト表示されたら 「選択」スイッチを押します。
- 選択した行にあるキーを「次へ」スイッチを押してスキャンします。
- 目的のキーがハイライト表示されたら「選択」スイッチを押します。
テキストを編集する
テキスト内にカーソルが表示されている場合は、[操作] メニューを用いて、テキストの編集が可能です。テキストの編集方法は以下のとおりです。
【テキストを編集する方法】
- 自動選択がオフになっていることを確認してから、スイッチを押してスキャンを開始します。
- 画面上部のメニューボタンを選択します。メニューに [自動選択を有効にする] と表示されていれば、自動選択がオフになっています。[閉じる] を選択してメニューを閉じます。メニューに [自動選択を無効にする] と表示されているときは [自動選択を無効にする] を選択します。
- テキスト項目を選択します。[選択]、[長押し]、[次へ]、[前へ]、[削除]、[ハイライト表示]、[コピー]、[切り取り]、[元に戻す] など、そのテキスト項目で利用可能な操作のメニューが表示されます。
※2022年1月末現在、Gmail と Google ドキュメントではスイッチアクセスによるテキスト編集はできません。
スイッチアクセスがうまく機能しない場合の操作法
スイッチアクセスが機能しない場合の操作方法を解説します。スイッチアクセスがうまく使えない、スイッチが動作しないといった場合はこちらを参考にしてください。
【Bluetooth がうまく接続されない場合】
- Bluetooth をオフにしてから再度オンにします。
- Android デバイスがペア設定されていることを確認します。
- デバイスを再起動します。
【外付けスイッチが動作しない】
Bluetooth で接続できているにもかかわらず、外付けスイッチが動作しない場合は、 Android デバイスがスイッチ側のシステム要件を満たしていない可能性があります。今一度、スイッチの説明書を確認してみましょう。
【外付けスイッチのケーブルが接続できない】
外付けスイッチの端子は必ずしも Android デバイスの規格と一致しているとは限りません。スイッチの端子が Android デバイスに接続できない場合は、お手持ちの Android デバイスと外付けスイッチを接続できる変換アダプターなどを購入しましょう。
スイッチアクセスで、より多くの人が Android を活用できます
Android のスイッチアクセスは、さまざまな理由によりタッチスクリーン操作が困難な状況を手助けしてくれるでしょう。
Android デバイスを手に持てない状況でも基本操作やテキスト編集が可能です。キーボードや Android デバイスの物理ボタンに対する操作割り当ても、うまく活用すればタッチ操作よりも素早い操作が可能になる場合もあるので、ぜひ試してみてください。
※本記事で紹介した内容は、一部ご利用になれないデバイスなどもあります。本製品またはその一部の機能などを利用できるかどうかは OEM およびデバイス メーカーによって異なります。