写真に写る範囲を表す「画角」とは?
撮影をするときに、カメラの「画角(がかく)」を意識するだけで、写真の仕上がりは大きく向上します。ここでは、画角の基本的な概要や、画角と密接に関係する焦点距離、スマホカメラの画角などを解説します。
画角とは
画角とは、カメラで撮影する際に写真に写る範囲を角度で表したものです。画角は 82°、30° などのように記され、レンズによって変わります。角度が大きければ広い範囲、角度が小さければ狭い範囲を写すことができるため、被写体に合わせて画角を選ぶことでより印象的な写真が撮れるでしょう。
一般的に、画角は角度の違いによって「広角」「標準」「望遠」に分類され、それぞれ以下のような特長があります。
- 広角: 角度が大きく、撮影範囲が広い画角。人間の目で見える以上に広範囲を写せるほか、近くのものはより大きく、遠くのものはより小さく写るため、遠近感が出てダイナミックな印象になります
- 標準: 広角と望遠の間に位置する標準的な画角。人の視野に近いため、被写体を目で見た状態と近い仕上がりになります
- 望遠: 角度が小さく、撮影範囲が狭い画角。遠くの被写体を大きくズームインして撮ることができるので、近くで撮影したかのような写真になります
画角と一緒に覚えておきたい「焦点距離」
カメラの仕様に「○○mm」という表記が見られる場合があります。これは「焦点距離」を示す値で、画角と深い関係があります。
焦点距離とは、レンズの中心からイメージ センサー※1 までの距離のことです。一般的に「mm」の単位で表され、カメラのセンサーサイズによっても異なりますが、焦点距離が短いほど画角が広く(広角)、長いほど画角が狭く(望遠)になります。
スマホのスペック表には焦点距離だけが記載されているケースもあるため、スマホで写真を撮ることが多い方は、以下のように覚えておくとわかりやすいでしょう。
- 画角(°)の場合: 数字が大きいほど撮影範囲が広い
- 焦点距離(mm)の場合: 数字が大きいほど撮影範囲が狭い
※1 イメージ センサー(撮像素子)はデジタルカメラに搭載されている電子部品の一つで、レンズから入ってきた光を電気信号に変換する役割を持っています。
※メーカーやデバイスによって、焦点距離や画角が記載されていないものもあります。
画角をスマホカメラで操作するには
一眼レフカメラで画角を調整するには、適宜レンズを付け替えたり、ズームレンズのズームリングを回したりする必要があります。しかし、多くのスマホカメラでは、ズーム率を操作するだけで自動でレンズが切り替わり、シームレスに画角が変わっていきます。
ズーム率の操作も、撮影画面のアイコンをタップしたり、ピンチイン / ピンチアウトしたりするだけのため、気軽に写真撮影が楽しめるでしょう。
スマホで撮影! 撮りたい写真に合わせて画角を選ぼう
ここからは、Google Pixel 8 Pro で撮影した写真を例にとり、画角ごとの仕上がりの違いや、撮りたい写真に合わせた画角の選び方を紹介します。
Google Pixel 8 Pro の背面カメラ(アウトカメラ)には 3 種類のレンズが搭載されています。それぞれの画角は、「広角カメラ」が 82°、広角よりさらに広い範囲が撮影できる「ウルトラワイド カメラ」が 125.5°、「望遠カメラ」が 21.8° となります。一般的に「標準」といわれる人間の視野に近い画角(46° 前後)のカメラは搭載されていませんが、広角カメラで「× 2」のモードを使用すると、これに近い画角での撮影が可能です。
また、前面カメラ(インカメラ)では約 92° の広い画角で写せるため、家族や友人などを含めた複数人での自撮りなどもしやすいでしょう。
なお、この前で述べたとおり Google Pixel 8 Pro も撮影画面でズームをするだけで自動的にレンズが切り替わるため、簡単にあなたの理想の画角で撮影することができます。
スマホによってレンズが異なるため、スマホで撮影する際は、事前にご自身のスマホのカメラの仕様を確認しておきましょう。
※ 広角カメラを「メインカメラ」、ウルトラワイドを「超広角カメラ」と称するなど、スマホによってカメラの名称が異なる場合があります。
手軽に綺麗な写真を撮るなら「広角カメラ」の画角
広角カメラは、スマホのメインカメラとして使われることが多いカメラです。そのため、さまざまな場面で使用しやすい画角といえるでしょう。ピントが合う範囲が広く、写真がボケにくいという特長があるので、写真撮影に慣れていない方でも、扱いやすい点が魅力です。
Google Pixel 8 Pro では、ズーム率が 1 倍から 5 倍未満の場合に使用されるのが広角カメラになります。ズーム率 1 倍のときの画角は 82° で、以下の写真のように撮影できます。
臨場感のあるダイナミックな写真を撮るなら「ウルトラワイド カメラ」の画角
広角カメラの画角よりもさらに広い範囲を撮影できるのが、ウルトラワイド カメラ(超広角カメラ)です。広々とした景色をより臨場感のある写真に仕上げることができるほか、狭い場所を広く見せたいときなどにも有効です。
また、間近にある大きな被写体を撮影したいが、後ろに下がって撮影できない場合などにも便利です。
Google Pixel 8 Pro では、ズーム率が 0.5 倍から 1 倍未満の場合に使用されるのがウルトラワイド カメラ になります。ズーム率 0.5 倍のときの画角は 125.5° で、以下の写真のように撮影できます。
以下の 2 つの写真は、広角カメラ(ズーム率 1 倍、画角 82°)とウルトラワイド カメラ(ズーム率 0.5 倍、画角 125.5°)を比較したものです。このように、ウルトラワイド カメラの画角では近くのものは大きく、遠くのものは小さく写るため、広角カメラよりも遠近感が増したダイナミックな 1 枚を撮影することができます。
近づくことが難しい被写体を撮るなら「望遠カメラ」の画角
遠くのものを、大きく写したいときは望遠カメラを活用しましょう。野生の動物や、対岸にある建物など、近づくことが難しい被写体を撮影するときに活躍するでしょう。
Google Pixel 8 Pro では、ズーム率が 5 倍以上の場合に望遠カメラに切り替わります。ズーム率 5 倍のときの画角は 21.8° で、以下の写真のように撮影できます。
以下の 2 つの写真は、広角カメラ(ズーム率 1 倍、画角 82°)と望遠カメラ(ズーム率 5 倍、画角 21.8°)を比較したものです。このように、広角カメラでは遠くにある被写体も、望遠カメラでは近くにあるかのように撮影できます。
また、Google Pixel 8 Pro は、光学 5 倍ズームですが、それ以上はデジタルの超解像ズームになり、最大 30 倍まで可能です。より大きく写したい被写体は、この超解像ズームを活用して撮影するとよいでしょう。以下のように、迫力のある写真が撮影できます。
下の 2 つの写真は、望遠カメラ(ズーム率 5 倍)と超解像ズーム(ズーム率 30 倍)を比較したものです。このように、超解像ズームを使用すると、望遠カメラに比べて遠くの被写体をより大きく、間近に感じる写真が撮影できます。
撮影後に画角を変えたいなら「Google フォト」で同様の効果を
撮影後に写真の画角を変えることはできませんが、Google フォトなどの写真編集アプリで同様の効果を得られる場合があります。「切り抜き」機能を使うと、画角の広い(広範囲の)写真の大切な部分だけをトリミングして拡大することが可能です。
簡単な操作で、まるで画角の狭いカメラで撮影したかのような迫力ある写真になります。ただし、トリミングし過ぎると、小さな画像を大きく引き延ばすことになり、画質が低下してしまうので注意しましょう。
Google フォトの機能の詳細は、ヘルプセンターの写真を編集するをご覧ください。
画角のほかにも、構図について知ることで写真表現の幅はさらに広がります。
画角を知って、表現をもっと楽しもう
画角とはカメラで撮影できる範囲を角度で表したもので、カメラ(レンズ)の種類によって異なります。画角を変えることで写せる範囲を調整できるだけではなく、写真の印象も変えることができます。
Google pixel 8 Pro の場合は 3 種類のカメラが搭載されており、それぞれ違った画角や特長があります。たとえば、被写体をはっきり捉える「広角カメラ」の画角では鮮明な印象を、より広い範囲を写せる「ウルトラワイド カメラ」の画角ではダイナミックな印象を、遠くのものを大きく写せる「望遠カメラ」の画角では迫力のある印象を与えます。
また、撮影内容に合わせて画角を使い分けると便利です。たとえば、大勢で集合写真を撮りたいときは「ウルトラワイド カメラ」の画角、野鳥など遠くの生き物を撮りたいときは「望遠カメラ」の画角など、シーンに合わせて最適な画角を選びましょう。
※本記事で紹介した内容は、Android のバージョンや機種によって異なる場合があります。
※本記事は、2024 年 7 月時点に Google Pixel 8 Pro(Android 14)で検証しました。