2 つの SIM を使い分けられるデュアル SIM とは?
携帯通信会社の選択肢が増え、さまざまなプランが選べるようになった昨今、複数の SIM カードを使い分けている方や、これから使い分けてみたいという方も多いのではないでしょうか。
デュアル SIM とは、1 台のスマホで 2 種類の SIM カードを使い分けたり、同時に使ったりする機能を指します。1 台のスマホで異なる携帯通信会社やプランの SIM を使用できるため、たとえば、一つは通話、もう一つはデータ通信に特化したプランを選択するなど、複数のプランを使い分けることができます。
物理 SIM と eSIM
SIM には、物理的な SIM カードと、スマホに組み込まれた本体一体型の eSIM の 2 種類があります。2 種類の SIM の組み合わせパターンは以下のとおりです。
- 物理的な SIM カードのみを使用する
- eSIM のみを使用する
- 物理的な SIM カードと eSIM を組み合わせる
どのパターンが利用できるかは、スマホの仕様によって異なります。たとえば Google Pixel 7 や Google Pixel 7 Pro では、物理 SIM と eSIM の組み合わせや、携帯通信会社が対応している場合は 2 つの eSIM でデュアル SIM が利用できます。Google Pixel にデュアル SIM を設定する方法は、こちらを参考にしてみてください。
物理的な SIM カードはスマホに挿入するだけですぐに利用できます。※1 また、格安 SIM を提供する多くの MVNO でも採用されているため、自分に合ったプランを選びやすい点がメリットといえるでしょう。
eSIM とはスマホに組み込まれた本体一体型の SIM で、申込み手続きや回線の開通もオンラインで完結できます。複数の eSIM を契約している場合、スマホに複数の契約情報(プロファイル)を登録しておけば、いつでも有効化する SIM を切り替えられます。
また、デュアル SIM や eSIM が利用できるかどうかは、スマホのスペックだけでなく、携帯通信会社や契約プランによります。お使いのスマホやプランで利用できるかどうか、携帯通信会社にお問い合わせください。
※1 MVNO が提供する格安 SIM では APN 設定が別途必要になる場合があります。詳しくは「○○(お使いの携帯通信会社名) APN 設定」などで検索してみてください。
デュアル SIM の 4 つの種類
デュアル SIM には DSSS、DSDS、DSDV、DSDA の 4 つの種類があります。ここではそれぞれの特徴を解説します。
【DSSS(Dual SIM Single Standby)】
片方の SIM だけを有効にでき、利用する SIM はスマホを操作して切り替える必要があります。片方の SIM は圏外になるため、通話やデータ通信は行えません。有効になっている SIM で 4G または 5G を利用できます。
【DSDS(Dual SIM Dual Standby)】
SIM を 2 枚とも有効にできるため、手動で切り替える必要はありません。どちらの SIM の着信にもスムーズに応答できて便利でしょう。ただし、使える通信回線の組み合わせは、片方が 4G または 5G の場合、もう片方は 3G となります。高速通信を重視するケースでは、やや注意が必要かもしれません。また、片方の SIM で通話をすると、もう片方の SIM で通信ができないという特徴もあります。
【DSDV(Dual SIM Dual VoLTE)】
DSDS と同様に、SIM を切り替えずに着信を受けられます。また、両方の SIM で 4G または 5G の通信回線が利用できるため、データ通信がメインという方や、動画視聴など、できるだけ高速でデータ通信したいと考えている方に役立つのではないでしょうか。片方の SIM で通話をするともう片方の SIM で通信ができないのは DSDS と同じです。
【DSDA(Dual SIM Dual Active)】
2 枚の SIM を同時に使用でき、両方の SIM で 4G または 5G の通信回線が利用できます。DSDS、DSDV のように両 SIM の着信を受けられることに加えて、通話中にもう片方の SIM でデータ通信が行えます。通話とデータ通信それぞれに適したプランの SIM を選べば、よりコストパフォーマンスに優れた使い方ができるでしょう。
デュアル SIM のメリットや活用シーン
ここからは、デュアル SIM のメリットや活用シーンを紹介します。より上手にスマホを使うヒントがあるかもしれませんので、参考にしてみてください。
仕事とプライベートの番号を使い分けできる
デュアル SIM に対応したスマホであれば、一台で 2 つの電話番号を使えるので、仕事やプライベートで番号を使い分けることもできます。DSSS 以外であれば 2 つの SIM の電話番号を同時に待ち受けできるので、大切な連絡を見落とすことはないでしょう。また、DSDV もしくは DSDA なら両方の SIM で 4G(または 5G と 4G)回線が使えるので、ストレスなくインターネットを利用できるでしょう。
普段の SIM と 海外旅行先の SIM を併用できる
海外旅行の際、いつもの SIM を渡航先の SIM に差し替えて利用している人もいるかもしれません。現地の SIM を使うと、現地用のスマホや海外用モバイル ルーターをレンタルする手間を減らすことができます。
物理的な SIM を 2 枚利用できるデュアル SIM スマホなら、国内用と渡航先用の SIM カードを 2 枚とも挿入できます。
eSIM に対応したスマホであれば、アプリなどで渡航先の eSIM を手軽にダウンロードできるサービスを使ってもよいかもしれません。SIM カードを出し入れする必要がなく、手続きもオンラインで完結するので便利です。
※渡航先の SIM を利用するには、SIM フリースマホまたは SIM ロックが解除されている必要があります。SIM ロックの解除方法はお使いの携帯通信会社のページなどをご確認ください。
つながりにくいときの予備回線になる
災害やメンテナンス作業などで、通信障害が起こったり、つながりにくくなったりすることもあるかもしれません。そのようなときに、複数の携帯通信会社の回線を利用できると安心です。
また回線によってつながりやすいエリアは異なります。よく使うエリアに強い回線と、より広いエリアをカバーする回線を用意しておくといった使い方もできるでしょう。
通話用とデータ通信用で SIM を分けられる
通話をたくさんする、データ通信をメインに使うなど、スマホの使い方は人それぞれ異なります。たとえば、通話が多くデータ通信はあまり使わない場合、時間制限なく電話をかけられるプランの通話用 SIM と、使う分のデータ量のみ購入するタイプの通信用 SIM を選ぶといった自由度の高い組み合わせが可能です。
月々の料金を下げたい方や、より生活スタイルに適したプランを見つけたい方は、デュアル SIM の利用を検討してもよいかもしれません。
デュアル SIM を使う際の注意点
利便性の高いデュアル SIM ですが、使う際の注意点もいくつかあります。ここでは、3 つの注意点とその対策を紹介します。
スマホと携帯通信会社の組み合わせによっては使えない場合がある
スマホには、対応している周波数帯(バンド)があります。スマホと携帯通信会社が提供する周波数帯が一致しない場合、通話や通信は行えません。
新たに SIM を契約する際は、ご自身のスマホと携帯通信会社の対応周波数帯が一致しているか、事前に確認するとよいでしょう。対応するスマホをウェブサイトで公開している携帯通信会社もありますので、チェックしておくとより安心です。
バッテリーの消耗が早まることがある
電波がつながりにくい環境にいると、いつもよりバッテリーが早く消耗すると感じたことはありませんか?
スマホは送受信する電波が弱まると、違う基地局を探して状況改善を図ります。そのため、圏外や電波が弱い状態が長く続くほど、基地局を探す回数が増えてバッテリーの消耗につながるのです。
デュアル SIM で 2 つの回線を使うと、電波状況によっては 一枚の SIM を使うとき以上にバッテリーを消費する場合があります。心配な方は、使っていない方の SIM をオフにする、充電器やモバイル バッテリーを携帯するといった対策が役立つかもしれません。
SD カードスロットを使う場合がある
手軽に保存容量を増やす方法として、SD カードを使っている方も多いのではないでしょうか。スマホの機種によって、物理的な SIM カードと SD カードとでスロットを兼用しているものがあります。その場合は、物理的な SIM カードのみでデュアル SIM を利用すると SD カードを入れられなくなりますので注意しましょう。
デュアル SIM と SD カードをどちらも活用したい方は、eSIM と SD カードに対応したデュアル SIM モデルのスマホや、 SIM カード 2 枚と SD カードを同時に入れられるトリプルスロットタイプのスマホを選ぶとよいでしょう。あるいは、SD カードのかわりに、Google ドライブなど外部ストレージの利用を検討してもよいかもしれません。
デュアル SIM に対応した Android スマホ
デュアル SIM の活用法や注意点についておわかりいただけたでしょうか。ここでは、デュアル SIM に対応した Android スマホをいくつか紹介します。
※同じデバイスでも携帯通信会社によって、SIM トレイの形が異なるなどの場合があります。詳しくは各携帯通信会社の販売ページや、メーカーサイトをご確認ください。
Google Pixel
Google Pixel は Google 純正のスマホです。Google Pixel 7 から Google 独自のチップ「Google Tensor G2」を 搭載し、これまで以上に Google Pixel を高速かつ効率的に、さらに安全にしています。Google Pixel 4a 以降で、eSIM に対応しています。
- Google Pixel 7a
- Google Pixel Fold
- Google Pixel 7 Pro / 7
他
Google Pixel でデュアル SIM を使う方法についてはこちらをご覧ください。
Galaxy
Galaxy は Samsung が展開するスマホやタブレットなどのブランドです。S ペンと呼ばれるタッチペンを内蔵したモデルや、開けば 7.6 インチにもなる折りたたみスマホなど、独創的でアイデアに満ちたモデルを数多くリリースしています。
- Galaxy S23 Ultra / S23
- Galaxy Z Fold4
- Galaxy Z Flip4
他
Xperia
Xperia は、ソニーが展開するスマホのブランドです。 デジタル一眼カメラαで培った技術を活かしたカメラ性能、こだわりの AV 機能を持ったスマホや、長く使えるバッテリーを持ったスマホなどがラインナップされています。
- Xperia 1 V
- Xpeia 10 V
- Xperia 5 IV
他
この他にも多くのAndroid スマホがデュアル SIM に対応していますので、メーカーのページなどを参考にご自身にあったスマホを探してみるとよいでしょう。ご自身のスマホでデュアル SIM と eSIM が利用できるかについては、ご契約の携帯通信会社にお問い合わせください。
あなたのニーズに合わせて 2 つの SIM を使い分けよう
デュアル SIM 機能を使えば、1 台のスマホで、2 つの SIM を使い分けられます。仕事用と私用で回線を分けたい、自分に合った料金プランを組み合わせて月々の利用料金を抑えたい、など幅広いケースで活用できます。
他にも、海外渡航用の SIMや、通信障害などに備えた予備回線用の SIM など、あなたのニーズに合わせて 2 つの SIM を使い分けてみてはいかがでしょうか。
ただし、デュアル SIM を使うときには注意点もあります。スマホと携帯通信会社の周波数帯などは事前に確認しておきましょう。
本記事で紹介したデュアル SIM の種類や活用シーンを参考にして、より便利にスマホを利用しましょう。
※本記事で紹介した内容は、Android のバージョンや機種によって異なる場合があります。
※本記事で紹介した内容は、執筆時(2023 年 6 月)のものです。
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