回線速度とは
回線速度とは、通信におけるデータが伝わる速さのことです。スマホでモバイルデータ通信や Wi-Fi を使ってインターネットに接続するときの、速さの目安としてチェックするとよいでしょう。
回線速度は後述する「bps(ビー ピー エス)」という単位で表され、数値が大きいほど 1 秒間にやりとりできるデータ量が多く、回線速度が速いといえます。
2 種類ある回線速度
回線速度は「上り」「下り」と表現される 2 種類があります。上りはアップロードともいわれ、スマホからインターネット上へデータを送信することです。下りはダウンロードともいわれ、インターネット上からデータを受信することを指します。
たとえば、上りの回線速度が遅いと、写真を送ったり、クラウドへアップロードしたりする際に時間がかかります。一方で、下りの回線速度が遅いと、ウェブサイトの表示が遅くなったり、動画の読み込みに時間がかかったりします。上りと下りの回線速度が速ければ、ストレスのない速度でコンテンツを利用できるでしょう。
「bps」や「Mbps」は回線速度の単位
回線速度は「bps(bit per second)」という単位で表します。bit(ビット)はコンピュータが扱う情報の最小単位で、「bps」は 1 秒間でどのくらいのビット数を転送できるかを表します。
「bps」の前には K(キロ)や M(メガ)、G(ギガ)が表記され、回線速度の単位は以下のように変換できます。
- 1 Kbps = 1,000 bps
- 1 Mbps = 1,000,000 bps
- 1 Gbps = 1,000,000,000 bps
スマホの回線速度を測る方法
スマホの回線速度は、無料で測定できます。たとえば、Google で「スピードテスト」と検索すると、「インターネット速度テスト」が表示されます。[速度テストを実行] ボタンをタップすれば、すぐに速度測定が可能です。
測定が開始されると、「アップロード(上り)」と「ダウンロード(下り)」の回線速度が表示されます。
回線速度の測定はインターネット通信を行うため、データ通信の使用量に上限があるプランを契約している場合は注意しましょう。
スマホの回線速度の目安
スマホを快適に利用するための回線速度はどのくらいなのでしょうか。ここでは、シーン別にその目安を紹介します。
メッセージを利用する場合
スマホでメッセージやメールを送受信する場合、上り・下りともに 3 Mbps 以下の回線速度でもスムーズに利用できるでしょう。テキストのみの送受信であれば 1 Mbps 程度でもやりとりは可能です。
ウェブサイトや SNS を閲覧する場合
スマホでウェブサイトや SNS の閲覧をする場合、上りは 1 Mbps 程度、下りは 3 Mbps 程度の回線速度でも閲覧は可能です。
ただし、画像が多いウェブサイトの場合は、データ通信量が多く読み込みに時間がかかることもあるため、快適に閲覧するなら下りの回線速度は 10 Mbps 程度を目安にするとよいでしょう。
動画を観る場合
スマホで動画を視聴する場合に必要な回線速度は、上りは 1 Mbps 程度ですが、下りは視聴する際の画質によって異なります。
たとえば、標準画質の動画を視聴するには 3 Mbps 程度でも視聴可能ですが、高画質の動画を視聴するならば 5 Mbps 以上が必要でしょう。さらに 4K 動画を視聴する際には、20 Mbps 以上が目安といえます。
動画を送信・投稿する場合
SNS や YouTube などに動画を投稿する場合、上りの回線速度が 10 Mbps 以上を目安にしましょう。回線速度が 10 Mbps 以下の状態で動画を投稿すると、時間がかかることもあります。
テレビ電話やオンライン会議をする場合
スマホでテレビ電話やオンライン会議などを 2 人で行う場合、利用するサービスや画質にもよりますが、上り・下りともに 1 Mbps 以上の回線速度があれば可能です。
ただし、多人数でグループ通話を行う際や、高画質で利用する際には、できるだけ速い回線速度を確保することで、映像や音声が安定する可能性が高くなります。
オンライン ゲームをする場合
一般的に上り 30 Mbps 以上、下り 30 Mbps〜100 Mbps の回線速度があれば快適にゲームを楽しめるとされていますが、スマホのオンライン ゲームには、ひとりでプレイするものから複数人でプレイするゲーム、グラフィックの高いゲームなど多くの種類があり、作品によって快適にプレイできる回線速度が異なります。
たとえば、複数人でプレイするオンラインゲームならば、100 Mbps 以上の回線速度があると安心でしょう。特に、リアルタイムでの対戦ゲームなどでは、回線速度が勝敗を左右することもあります。オンライン ゲームをする際には回線速度を意識しておくとよいでしょう。
スマホの回線速度が遅くなる原因
スマホの回線速度が遅くなる原因はさまざまです。ここでは、速度低下の要因となり得る 5 つの事柄をみていきましょう。
通信の混雑による速度制限
モバイルデータ通信を使用しているときに回線速度が低下した場合、携帯通信会社による通信速度の調整などが考えられるでしょう。
時間帯によってはデータ通信をしているユーザーが多くなり、混雑時の速度制限などがかけられるため、低速になることがあります。このような原因が考えられる場合は、時間帯をずらした利用を検討しましょう。
データ使用量の超過による速度制限
モバイルデータ通信の使用量に上限があるプランを契約している場合、上限を超過すると速度制限がかかるため、低速になる場合があります。頻繁にデータ使用量が超過するときは、より上限に余裕があるプランか、使用量無制限のプランへの変更を検討するとよいでしょう。
また、Wi-Fi 環境ではできるだけ Wi-Fi に接続するように心がけると、モバイルデータ通信の使用量の節約につながります。
Wi-Fi ルーター
Wi-Fi を利用していて速度低下を感じる場合は、Wi-Fi ルーターの不具合が考えられるでしょう。この場合は、Wi-Fi ルーターの再起動で改善することがあります。
据え置き型の Wi-Fi ルーターの場合、LAN ケーブルの接触不良も考えられます。一度 LAN ケーブルを抜いて挿し直してみましょう。それでも改善しない場合は LAN ケーブルの劣化や断線の可能性があるため、買い替えも検討するとよいでしょう。
また、Wi-Fi ルーターの老朽化や、最新の通信規格に非対応であることが原因の可能性もあります。Wi-Fi ルーターを購入してから数年経過している場合は、より回線速度が速い最新の通信規格に対応した Wi-Fi ルーターへの買い換えを検討するとよいかもしれません。
スマホを使用する場所
地下やビルの高層階など、携帯通信会社の電波が届きにくい場所では、モバイルデータ通信の回線速度が低下することがあり、場所を移動することで改善する場合があります。
また、Wi-Fi ルーターの電波が届きにくい場所でスマホを使用すると、通信速度が遅くなります。たとえば、スマホを使う場所とは別の部屋に置いた Wi-Fi ルーターを使用すると、壁や家具などに電波が遮られてしまうことがあるため、部屋を移動するか Wi-Fi ルーターの置き場所を変えてみましょう。
スマホ本体
スマホの OS アップデートやソフトウェア アップデートなどを行っていない場合は、各アップデートを試してみましょう。また、スマホを再起動すればモバイルデータ通信や Wi-Fi が再接続されるので、問題解決につながるかもしれません。
利用シーンにあった回線速度で快適なネットワーク環境を
スマホを使っていてインターネットが遅いと感じた場合は、ウェブサイトなどで回線速度を測ってみましょう。スマホの回線速度は「Mbps」で表されることが多く、数字が大きいほど速いため目安にしてみましょう。利用シーンに必要な速度に達していないならば、今回紹介した内容を参考に、ご自身のスマホや Wi-Fi の状態を確認して対処しましょう。
モバイルデータ通信で回線速度の低下を感じた場合は、ニーズに合った携帯通信会社への乗り換えやプランの変更などを検討するとよいかもしれません。
※本記事で紹介した内容は、Android のバージョンや機種によって異なる場合があります。
※本記事は、2023 年 6 月時点に Google Pixel 6(Android 13)で検証しました。