アクセシビリティとは
アクセシビリティ(Accessibility)は、「接近できること」や「近づきやすさ」という意味を持つ英単語です。IT に関わる製品では、一般的に「サービスや製品の使いやすさ」を表す用語として使用されています。
たとえば、手を使わなくても音声で操作できる音声操作機能、見やすいよう文字や画像のサイズを変更する画面表示機能などが、アクセシビリティ機能の代表的な例として挙げられます。このように、アクセシビリティとは利用者にあわせて、日常的に利用する機器をより使いやすくサポートする機能なのです。
スマホのアクセシビリティ機能とは
Android には、「ユーザー補助」としてアクセシビリティ機能が搭載されています。利用者のスマホ操作をサポートする機能で、音声文字変換や自動字幕起こし機能、スマホから出る音の微調整などさまざまな機能が開発されています。
たとえば音声文字変換はその場で声をテキストに変換し、スマホを通して会話をサポートします。また、動画や音声メッセージなどを 1 回のタップだけで自動的に字幕に起こしたり、音声増幅で音をクリアに聞こえるようにしたりする機能などがアクセシビリティ機能として提供されています。
Android で利用できるアクセシビリティ機能
それでは、Android スマホには具体的にどのようなアクセシビリティ機能が搭載されているのでしょうか。ここでは、Android スマホで利用できる代表的な機能をみていきましょう。
※ Android のバージョンや機種によって異なる場合があります。
TalkBack
TalkBack は、主に目の不自由な利用者向けに、音声とジェスチャーによるスマホの操作を可能にします。スクリーン リーダーと呼ばれるタイプの補助機能です。TalkBackを利用すると、視覚に頼ることなくスマホの各機能を使うことができます。また、アプリをタッチしてアプリの名前を音声で聞いたり、画面に表示されているものならばバッテリーの残量なども音声で知ることが可能です。
TalkBack を有効にするには次の 3 つの方法があります。
方法 1: Google アシスタントを使用する
Google アシスタントに話しかけることで、TalkBack のオンやオフが可能です。
方法 2: 設定アプリから設定する
Android スマホの設定アプリから、TalkBack のオンやオフを設定できます。
方法 3: 両方の音量ボタンを押す
音量ボタンのショートカットを利用して、TalkBack のオンとオフを切り替えられます。この方法は、音量ボタンのショートカットを有効にしていないと機能しないので、まずはこちらを参考にユーザー補助機能のショートカットを有効にしてください。その後の手順についてはこちらをご覧ください。
表示の変更
Android スマホに表示される文字が小さい、あるいはコントラストや色によって見えにくいといった場合には、表示を変更することができます。変更できる表示には以下のようなものが挙げられます。
- 表示サイズとフォントサイズ: 表示サイズまたはフォントサイズを調整して、画面上のアイテムのサイズを変更できます。詳しい手順については、こちらをご覧ください。
- 拡大: 拡大機能を使用して、一時的にズームインしたり画面を拡大したりできます。拡大をオンにする手順についてはこちらをご覧ください。
- コントラストと色の設定: 高コントラスト テキスト、ダークテーマ、色反転、色補正を使用して、コントラストや色を調整できます。コントラストやテキスト、色反転や色補正についてはこちらをご覧ください。また、ダークテーマの設定手順についてはこちらをご覧ください。
- 選択して読み上げ: 特定の状況で音声フィードバックが必要な場合は、[選択して読み上げ] を有効にします。画面上のアイテムを選択すると、その内容や説明を音声で聞くことができます。「選択して読み上げ」を使用する手順については、こちらをご覧ください。
スイッチ アクセス
Android スマホには、物理的なスイッチ機器を接続して機能をコントロールできるスイッチ アクセス機能があります。スマホのタッチ スクリーンを使う代わりに、USB や Bluetooth で Android スマホに入力機器を接続し、ボタンなどに各操作を割り当てて利用できるのです。たとえば、デバイスのスクリーンやボタンを触って操作することができない方にとって便利な機能だといえるでしょう。
スイッチ アクセスは、Android スマホの画面上に表示されている項目をスキャンして、各項目を順番にハイライト表示します。目的の項目がハイライトされたらそこを選択して操作します。スイッチ アクセスを利用するには、以下のいずれかを準備してください。
- 外付けのスイッチを使う場合: Android デバイスにキー入力信号を送信するスイッチ デバイスを使います。このようなデバイスは、さまざまな企業から販売されています(ただし、Google が企業やその製品について保証することはありません)。デバイスと Android スマホを USB または Bluetooth で接続します。
- 外部キーボードを使う場合: 標準の USB キーボードや Bluetooth キーボードのキーに操作を割り当てて、スイッチ デバイスとして設定します。
- Android デバイスのボタンを使う場合: 音量大ボタンや音量小ボタンなど、Android デバイスに組み込まれているボタンに操作を割り当てます。
スイッチ アクセスのセットアップ方法については、こちらをご覧ください。
また、簡単な顔の動きでスマホを操作できるカメラスイッチという機能も利用可能です。カメラスイッチについてはこちらをご覧ください。
アクション ブロック
アクション ブロックは、よく使う機能や操作の名前、画像をホーム画面に追加して、操作しやすくする機能です。たとえば、よく電話をかける人の写真をホーム画面に配置し、写真を選択したときに電話をかけるといったアクションを設定できます。
アクション ブロックを利用するには、以下の要件や手順を参考にしてください。
【ステップ 1: 要件確認】
- Android のバージョン 5.0 以降であることを確認します。
- Google アシスタントが利用できることを確認します。アクション ブロック アプリは、Google アシスタントを使用して、一般的な操作を簡単に行えるようにします。Google アシスタントの設定についてはこちらをご覧ください。
- Google アプリのバージョンが 10.73 以降であることを確認します。Google アプリのバージョンを確認するには、Google アプリを開き、その他アイコン → [設定] → [概要] を選択します。アプリのバージョンが [バージョン] の下に表示されます。
- インターネットに接続されていることを確認します。
【ステップ 2: アクション ブロックのダウンロード】
アクション ブロックを利用するには、Google Play ストアからアクション ブロックをダウンロードします。
【ステップ 3: アクション ブロックを設定する】
アクション ブロックのアプリをダウンロードしたら、アクション ブロックを設定してみましょう。設定方法については、こちらをご覧ください。
【ステップ 4: アクション ブロックを使用する】
ホーム画面に設置したら、アクション ブロックを選択することで設定した動作を実行します。アクション ブロックの詳しい使い方や手順については、こちらをご覧ください。
操作までの時間選択
操作までの時間を設定することで、操作を促すメッセージの表示時間を変更できます。表示の時間が短いと見逃してしまう、あるいは読むのが間に合わないといった場合に活用できるでしょう。
操作までの時間変更は、主に 10 秒、30 秒、1 分、2 分から選択可能です。ただし、すべてのアプリをサポートする機能ではありません。時間の変更設定については、こちらを参考にしてください。
音声をテキストで表示する機能
アクセシビリティ機能を活用してスマホをより使いやすく設定しよう
Android のアクセシビリティ機能は、障がいがある方もない方も、誰もがスマホを使いやすいよう支援する機能です。たとえば、音声やジェスチャーを使えば視覚に頼らず操作ができますし、字幕の表示などの機能を使えば音声をテキストで読むことができます。普段スマホを利用するうえで使いにくいと感じる部分がある場合は、アクセシビリティ機能を上手に使ってみるとよいでしょう。
※ 本記事で紹介した内容は、一部ご利用になれないデバイスなどもあります。本製品またはその一部の機能などを利用できるかどうかは OEM およびデバイス メーカーによって異なります。
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